給湯器交換や修理は高額になりやすく、「点検に来ただけ」「古い機種だから危険」「ガス漏れがしている」など、不安を煽るような手口の悪徳業者による被害がわりと身近にあります。

広告やネットで見てもボッタクリだったらどうしよう…
悪質な業者に引っかからないか心配という悩みは尽きません。
給湯器の交換工事は、給湯器の設置状況によって工事内容が大幅に変動する可能性があり費用が不明瞭になりやすいこともあり、知識がないと判断しづらいことも影響しています。
当ページでは、悪徳業者や行政処分を受けた業者の調べ方から、典型的な手口、トラブル回避のコツまでをわかりやすく解説してみたいと思います。


点検商法の訪問販売に注意・イトケン事例など
独立行政法人 国民生活センターの調査によると、給湯器点検に関する相談件数は2023年度に入り急増し、2022年度同期の約3倍となっています。
相談事例では、電話や訪問で突然給湯器の点検を持ち掛け、不安をあおって高額な給湯器の交換を迫る手口が多くみられます。中には、電話口で「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼された」などと身分を偽るケースもみられます。
契約当事者の7割以上が70歳以上で、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。
年度別相談件数:2018年度は206件、2019年度は241件、2020年度は245件、2021年度は335件、2022年度は561件、2023年度は12月31日までで1,099件です。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。2023年12月31日までの登録分。
- 地域の担当です。少し点検に伺いました。
- 古い機種をお使いのようですが危険です。
- 給湯器からガス漏れがしている可能性があります。
突然、なんのアポイントもなく自宅に訪問してくる点検商法は、給湯器が古い、早く交換した方が良い、火災やガス漏れの可能性がある、ご近所にも迷惑がかかる。
など、さまざまな巧妙な口実で不安を煽り、適正ではない契約を迫ってきます。中には、いかにもそれらしい嘘の写真を見せてきたりと、注意深い方でも引っかかりやすい手口もあるようですので関わらないに越したことはありません。
※ 株式会社イトケン(福岡県)・点検商法で3ヶ月の行政処分について
2025年3月、福岡県と九州経済産業局は、給湯管工事を装った訪問販売業者「株式会社イトケン」に対して業務停止命令(3か月)を発令しました。
クーリング・オフをすることができるものであるにもかかわらず、消費者から本件役務提供契約の解除手続の対応を委託されていた者に対し、「1年間内の2度目の契約は解約できない」などと、あたかも、本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができないものであるかのように告げた。
※参考:消費者庁・訪問販売業者「株式会社イトケン」に対する行政処分について
※参考:福岡県庁HP・特定商取引に関する法律に違反した訪問販売事業者に対する業務停止命令
悪徳業者に騙されないための対策として、訪問販売からは契約しないことをお勧めします。
かなり強引なセールスマンもいますので、無視してインターホン越しに遮断するが有効です。
行政処分を受けた業者を検索できるサイト一覧
給湯器の悪徳業者や不当な契約で行政処分を受けた業者の情報を知ることができるサイトをご紹介したいと思います。いずれも公的機関や弁護士会が運営しています。
| 消費者庁 特定商取引法ガイド | 全国の行政庁(国・都道府県)による処分事例を検索可能 |
| 国土交通省 ネガティブ情報等検索サイト | 建物に関する建築業関連の行政処分を受けた事業者の検索が可能 |
| 東京都 東京くらしWEB | ガス給湯器交換・リフォーム訪問販売の行政処分例あり |
| 神奈川県 神奈川県HP | 住宅リフォーム工事等の訪問販売事業者に対する業務停止命令などが掲載。 |
| 北海道 北海道HP | 悪質商法・行政措置・情報提供をした事業者名等の一覧が掲載 |
| 愛知県 県民生活課HP | 給湯器交換工事など、訪問販売業者に対する行政処分が公開されています。 |
| 大阪府 大阪府HP | 行政処分、情報提供を行なった事業者が公開されています。 |
上記以外にも、お住まいの地域の自治体ホームページなどを確認頂くと、実際に行政処分が行われた事業者をチェックすることができます。
ただし、あくまでも行政処分があった事業者を知ることができるだけですので掲載されていないからと言って安心して契約ができるわけではありません。
安易に契約せずに一度、他の専門業者にも相談する。ご家族ともしっかり相談しましょう。
クーリングオフ対象の契約には条件がある
クーリングオフの対象期間は契約日から8日間です。
ただし、給湯器交換工事なら「8日以内なら何でも解約できる」というわけではありません。
クーリングオフが適用されるのは、訪問販売や電話勧誘によって契約した場合のみです。
一方で、自分からインターネットで業者を検索して見積依頼を行い、契約に至ったケースは対象外となります。
給湯器交換の場合、ほとんどの人がネットで見積もりを取り、契約する流れになるでしょう。筆者自身も同じようにネット経由で依頼することが多いです。
インターネット経由の契約はクーリングオフの対象にならない可能性が高いため、契約内容や価格、保証範囲をしっかり確認してから契約しましょう。
トラブルに遭った場合の相談窓口
次に、実際に給湯器交換でトラブルに遭った場合の相談窓口をご紹介します。ご自身に解決しようと悩まずに早めに窓口に相談するのがおすすめです。
- 消費者ホットライン(TEL:188)
トラブル初期の相談窓口。188(いやや!)で通話可能
うっかり契約してしまった。高額請求されたなど状況に合わせた適切な相談窓口の提案も行う - 国民生活センター
全国的な被害事例で同様のケースが探せる
相談済みだが、解決しないなど再相談にも対応 - 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
弁護士会が運営。住宅品質に関する相談
施工不良、工事ミス、保証トラブルなど
悪徳ではないが、契約して後悔するケースと対策


悪徳業者ではなくとも、納得して契約したはずなのに後悔した!という事は給湯器だけに限らず多くの人が経験していると思います。
給湯器交換は工事費用だけでなく、10年近くの長い期間を快適に使える必要があります。
給湯器交換でより良い契約をするためにも、契約して後悔したよくあるパターンをご紹介しておきたいと思います。検討する際の参考にされてみてください。
営業トークで言葉巧みに丸め込まれる
この場で決めていただけたら特別割引で手配します!
など限定的に演出して契約をせかす営業トークは定番とも言えます。給湯器交換は、業者によって見積価格に差が出やすいです。
言葉巧みなセールスマンであれば、あれ?そんなに割引してくれるの?と思ってしまう事もあるかと思いますが、給湯器交換はどこの業者も当たり前のように割引があります。
すぐに決めずに、一度検討する猶予をつくるのがおすすめです。
適正な見積もりで、よりリーズナブルな価格で契約できるよう複数の業者で相見積もりを取りましょう。とくに相場感が分からない場合は必須と言えます。
見積書が不明瞭・追加工事費用などが発生
見積書が不明瞭、追加工事費用が発生した場合のトラブルは給湯器交換やリフォーム業界では多いトラブルとなっています。そのため見積書が工事項目ごとに正確に記載されている必要があります。
給湯器本体と諸費用まとめて〇〇万円で対応できます!
などざっくりとした総額提案には注意が必要です。
給湯器交換業者には「工事費込み」という料金形態の業者が多いですが、給湯器本体+工事費+配管部材+出張費+古い給湯器の撤去費用など項目ごとに明記されていればトラブルが起きにくいです。
追加工事が必要な場合は、見積もりの段階で明記してもらいましょう。後から追加工事費用が発生しない旨も見積書に記載されているとより確実です。
工事後の保証範囲に関するトラブル
給湯器交換業者の多くは、工事後のアフターサポートにも力を入れています。
一般的には、給湯器本体10年保証+工事保証10年といった長期保証をセットで提供している業者が多く見られます。
対応の良い業者であれば、本体の故障はもちろん、リモコン・配管・電装部分など、実際に工事を行なった箇所すべてをしっかりサポートしてくれます。
一方で、注意したいのは次のようなケースです。
- 長期保証でも、給湯器本体のみ対象でリモコンや配管は別料金。
- 工事ミスによる不具合を設置環境の影響や経年劣化と説明され、保証の対象外となる。
このようなトラブルを避けるためにも、どこまでが保証範囲に含まれるのかを契約前に必ず確認しておくことをおすすめします。
実績のある給湯器交換専門業者に依頼する
長年の実績を持つ専門業者は、メーカーごとの設置基準や現場条件への対応経験が豊富です。
リンナイ・ノーリツ・パーパスなどメーカーの認定施工店や、水道局工事店になっていることが多く、高い技術を持つスタッフが在籍しています。
壁掛け型・据置型・エコジョーズ(高効率給湯器)など、どんな設置環境でも最適な工事を行えるノウハウを持っているため信頼性があり、小規模業者よりも経営状況が安定していますから長い期間サポートを受けたい場合にも頼れます。
また、実績がある≒利用者の口コミ投稿も多く見ることができますから工事を依頼してみてどうだったのか。満足のいくものだったのかリアルな情報を入手しやすいです。
ガス供給会社も割引キャンペーンを実施している
東京ガス、大阪ガス、静岡ガス、西部ガス、京葉ガスなどの、ガス供給会社といえば給湯器本体の販売価格が高かったり、割高な会社も多いですが、割引キャンペーンを実施しているガス会社もあります。
東京ガスに関しては、高効率給湯器など機種によっては最大77%の割引も行っていますから、なかなか良い給湯器交換業者が見つからない場合はお住まいの地域のガス会社や、サービスショップに問い合わせて見るのも一つの方法です。
高効率給湯器(エコジョーズやエコキュート)に関しては給付金の対象になっている地域もありますので合わせてチェックされてみてください。



